「鮫肌男と桃尻女」

監督は「茶の味石井克人
印象的な場面づくりと緻密なキャラクター設定、衣裳、細部にとてもこだわりがある。

鮫肌役は浅野忠信。この人の軽さ、透明さ、よんどころのなさが好きだ。
いつでもどこかにフッと行っちゃうけど、いつでもその辺にいる人みたいなイメージ。
桃尻トシコ役の小日向しえ、容姿が美しいことに意義がある役。
しばし見つめあう場面に耐えうる強い美。
今はもうお子さんがいるんだよねー。しえさんは本名なんでしょうか?
そしたら、いまは田中しえなの??ココリコ。「たなかシェ−!」
いきおいよく、言うと気持ちが良い。
脇を固めてる役者がとても充実。岸部一徳寺島進。岸部さんは静かで怖くて好きだ。
誰もいない沼のよう。今だとキンチョ−ルのCMが好き。
「わしとお前の、ふたりだけ!」
寺島進さんはくりぃむしちゅー有田に似ていると思う。仕事として悪人をやっている人の役がうまい。

で、我集院達也(旧・若人あきら)。怪演!
この人が記憶喪失になって、小田原城内で倒れてたところを
わたしの後輩の友達が救出したんだそうです。
当時高校生。なんか勇気あるな。わたしなら触れない。木の叉から自然発生したような人間。
誰のことも、ものすごく喰っちゃう存在感だけど、
浅野くんのすごいところはこういうアクの強い俳優さんと組むと、
埋もれるどころか、よけいに純度が増して、
クリアな澄んだ人物像になるところ。ひとり浮いて見える。(良い意味で)

鶴見辰吾の役どころ、何か不完全燃焼だなーと思った。
もうちょっと何かできそうだったのに、と。

原作の漫画家、望月峯太郎氏が書く作中の人物は
軽くて、思想めいたことなどは口にしないがウソのない今を生きていると思う。
「お茶の間」「バタアシ金魚」「座敷女」登場人物には
みんなちゃんとした思念があって、良くも悪くも、
やりたいことしかしない。それぞれの事情を生きている。
希望がないようだけど、あかるい諦観みたいなものが魅力なんだと思う。