松尾さんの思い出

そいや思い出した。
松尾スズキさんが私が住んでる区の無料講座に出てくれたことがあったのよ。
おらが町の、あんなちっこい公民館に…今じゃ考えられないねぇ。
講座は「演劇の現在」で、成井さんと平田さんと松尾さんの三回。
いつもどうやって脚本をまとめるか、役者観などを
質疑応答交えて語ってくれたのだが、松尾さんの回しか覚えていないなあ。

松尾さん曰わく「マンダラを構成します」
まず出来るだけ大きい白い紙を用意。松尾さんの場合は模造紙。
その紙の中心に一人まず書いて、その人の特徴や環境を書いておく。
次にその人から想像するなにかや近頃よく起こる出来事、
気になった人、などなど、今の自分にとって旬なものを配置。
そしてそれらを線で結んでいく。基準はくっつけると面白いかどうか。
次第にそれらは渦巻き状態で集まり、次々思いついては足していくと
徐々に全体がマンダラのように一枚の絵として見えてくる。と、記憶ではこうだった。

私の頭の中の松尾さん。
紙を黒板に貼り付けて、実際に書きながら喋る松尾さんは、
タダモノではない気配を全身から放ち、我々を眺めまわし、鋭い視線を浴びせながら
書いては話して、また書いて、マンダラが大きくなると共に
松尾さんもぐんぐん高揚するのが見てとれた。人を巻き込んでいくパワーが
あふれてました。
松尾さんって、独特の声してますよね。
煽られる声っていうのかしら、不穏な音って気がする。
監督に乗せられて思わず脱ぐのって、こんな時じゃないかしら。女優か。

そして、松尾さんの解説付きで過去の公演のビデオを見せてくれた。
その中に「鼻と小箱」があったんですねー。ダイジェスト版でしたが。
温水さんと2人のネタ、今ではちょっと有り得ない組み合わせ。
「この頃のネタ、勢いがありますね〜!我ながら面白くて驚いた」と
おもしろい、おもしろいを何度も繰り返してました。「ふくすけ」くらいになると
「あー、このころはもう、すっかり落ち着いてきちゃって」なんて言ってた。
その後の質疑応答ではいろいろな名言が聞けました。
「チケットノルマばっかりこなすのがうまい役者はだめ」
「丈が合ってないベッドには今では物が置かれている」
おもしろかったなあー。