メタルマクベス

しつこく書き続けるよー。気に入ったら暑苦しいよ〜、わしゃあ。

感想を書いていなかったので、この下に


メタル+マクベス=なにそれ!観るしかないでしょう!
の公式。
メタルでミュージカルで、マクベスで、生バンド演奏で役者の生歌で
なにより、脚本が、宮藤官九郎

BGMすべてがメタルで統一されているので、
ぐっと泣きにいきたいシーンなのに曲がうすっぺらく感じて
少々ジャマに思うところもあった。
けれども、マクベスはもともと宴会の余興として
演じられた作品らしいから、メタルと合わさるような軽さで
ちょうどいいのかも。
古典だからって難しく考えることはないんだろう。
前半の終わり、少し冗長な部分があって(まどろっこしくて)
ウトウトしちゃったところがあった。
だけど、後半からはさすがの牽引力。
すばらしい展開でぐいぐいとひっぱっていってくれた。
DVDでもう一回見たい。だって「顔にでる〜」って言っても、
内野さんの肝心の表情が全く見えなかったので…。
森山未来さんの身体能力には驚くばかり。
松さんはロックを歌うと、本田美奈子の歌声になるってことに気づいた。
顔の骨格・体型ともなんとなく似ているし。

音楽は、劇中歌なので話の展開上、字余り気味な曲もあるけど
宮藤さんらしく、ところどころに思わずニヤッとする
歌詞がふんだんに盛り込んである。
「女の股から生まれた男」なんて、思わず爆笑してしまった。
「女の股から生まれた〜 男や〜さかい〜」ずるいよ関西ノリ。
メタルと大阪って、すごい似てる気がする。
強引、メランコリー、叙情的。鉄っぽいところも。

そうそう、歌詞の出し方がとってもすてきだった。
字幕も装置と一貫したデザインに気遣いが感じられます。
無機質な電光掲示板で歌詞が流れるやつ、あれはイヤよね。

だけど、歌も楽器も、なんてうまいんでしょ!
基本的にバカテクじゃないとメタルは演奏出来ないものね。
歌ってるのは冠さんを除いて全員役者だけど、みんなうまいなー。
上條さんはさすがの存在感。やっぱり王様はこの人じゃないと。
話にも説得力が増すというもんです。

サントラの中では「ダイエースプレー買うてこいや」と
「リンスはお湯に溶かして使え」が好きだなー。
劇中では途中で消されちゃうけど、通して聴いたらこれが一番いい。
これメタルというか、ハードロックだと思うんだけど
歌詞のアホらしさに対して、曲の輝きがハンパないっす。
たぶんなにか元になってる曲があるはずなのよね。
おそらくはジギー、あるいはレッド・ウォリアーズ…。

報告の歌、二回目の「間違えました〜」をよく聴くと
小さく「ぅぁぁあ間違えました〜〜」ってやってるのがツボ。
これぞメタル唱法だね。

物語の裏テーマ・80年代のバンド事情を扱ってるあたりは
みうらじゅんさんの「アイデン&ティティ」とも重なるものがある。
バンドマンの心の弱さ、プライドの高さから、
うさんくさい予言を信じすぎて、やがて自滅して…っていう部分。
自分を信じきれないから、神がかりとか、女の子の力で
でっかくなろうとするんだけど…根元がぐらぐらしてるから
結局倒れちゃう。
その破滅の文化がメタルの音楽世界とうまくマッチしてるなあと思います。